第4回 まいどおきに露の新治です

 2014年9月21日
東京 内幸町ホール

 9月21日(日)の東京での独演会「第4回まいどおおきに露の新治です」。前回(第3回)は、予想もしなかった大雪の中、70人以上の寄席の決死隊のあたたかい(熱い!)お客様に支えられ、生涯忘れられない高座となりました。今回、台風でも来たら、もはや伝説になってしまうところでしたが、幸い絵に描いたような秋晴れ、絶好の寄席日和となりました。
 内幸町ホールに着くと、すぐ「大丸屋騒動」のハメモノの打ち合わせ。三味線・民江師匠、ツケ・さん坊さん、鳴り物・さん弥さんで、皆さんうまくやって戴き、私としては、しっかりやれました。番組は、「初天神」・さん坊、「大丸屋騒動」・新治、(お中入り)、「くやみ」・新治、「道具屋」・さん弥、「まめだ」・新治」
 夏から秋へ移る季節感を感じて戴いたらと思っての構成でした。「くやみ」も、鈴本夏祭り(お盆興行)でひさしぶりにやった噺で、「まめだ」はネタおろし。この会でやるために、桂千朝師匠にお稽古して戴きました。何とか間に合ってよかったです。マクラで笑福亭笑助さんを事実無根のことでネタにして申し訳ないことをしてしまいましたし、できのほうはお客様にまかせるしかありませんが、無名の私が東京の立派なホールで独演会ができたことが、すごいことだと思います。何より支えて戴いたお客様、そして、毎回楽屋に顔を出して戴く柳家さん喬師匠、席亭のSさん、お手伝い皆勤の、岡大介さん(歌手)、イラストレイターのみずうちさとみさん、漫画家の一色美穂さん(お茶子)、アマチュア落語家の、るぱんさん、菊之助さん、皆さんほんまにありがとうございました。
 「大丸屋騒動」は、師匠五郎兵衛が芝居がかりに仕立てた噺。家の芸として、大事にしていきます。初めて聞いた時には、まさか自分がやるようになるとは思っていませんでした。それどころか、「こんな陰惨な噺!」と思いました。不思議なものです。今は、あの「オチ」が好きになりました。あれがあるから「落語」なんですね。よおあんな噺を作ったものです。
 次回は来年、4月24日(金)夜席です。ゲストは、笑福亭べ瓶さんと、そして、そしてあの柳家さん喬師匠!です。何とぞ、よろしくお願い致します。

(2014.9.24 新治 拝)


 数日前までの東京は降水確率70%という天気予報。今回も新治師匠は低気圧と共にいらっしゃるのか…という不安をよそに、21日当日は見事な秋晴れ! 空気も澄んで涼しく、まさに落語日和という陽気でした。今回は日曜のお昼ということもあり、お日様のもと、気持ちの良いスタートを切ることができました。
 とはいえ今回は、2月の決死隊の方々はご招待、大雪でやむなくご来場できなかった方々は振替、通常予約の方々…と3パターンの受付態勢となり、開場早々に受付は大混雑となりました。ご迷惑をおかけしました。

 受付がごった返している頃の楽屋。今回ネタ出ししていた「大丸屋騒動」の打ち合わせをする新治師匠とさん弥、さん坊両氏。後ろにいるのはお囃子の民江師匠。高座でも音合わせや照明の打ち合わせをしていました。

開場後はご覧の通りの大盛況!!

 開口一番はさん喬師匠の末っ子弟子、さん坊さんです。さん喬師匠の十八番「初天神」を。

 二席目はなんと「大丸屋騒動」。前座の後にいきなりトリネタを持ってくるという大胆な構成でした。東京でかけるのは、黒門亭、らくだ亭、三田落語会と今回で4回目となります。いつも笑顔の新治師匠から、笑顔が消え狂気に変わる…。大鼓のドンドンという音と、心臓の音が重なり、緊張も最高潮のところでスコンと落とされる…。落語で良かったと思う瞬間ですね。

 中入り後は、再び新治師匠の登場、「くやみ」。さきほどとは打って変わって陽気で賑やかな一席。(すみません、バタバタしていて写真が撮れませんでした…)

 次に、来春に真打昇進が決まった、さん喬師匠の6番弟子のさん弥さん。タップリの「道具屋」。前座ネタとしてよく聴きますが、全編通すとまた違った味わいがありますね。

 遠目で見たら新治師匠に見える!?
 最後は新治師匠で「豆狸(まめだ)」。ネタおろしだそうです。

 秋のおとずれを感じさせるしんみりとした一席。秋を舞台にした噺は少ないので、貴重ですね。

 新治師匠いわく、大丸屋(夏)→くやみ(夏)→豆狸(秋)と季節を追った構成でした。よくよく考えたら、すべて「死」が盛り込まれた噺ですね。お彼岸に、命の尊さを感じることができたでしょうか??

 さて、次回はまたまただいぶ先です。来年の4月24日。雨と雪を避けたらこの日になりました。ゲストは我らが柳家さん喬師匠です! 新治師匠も高座でおっしゃっていましたが、さん喬師匠は毎回楽屋見舞いにいらしてくれます。今回は寄席を掛け持ちの中(浅草では昼のトリです!)、隙間をぬってのご来訪。本当にありがたいです。2月の雪の日は、決死隊の一人として最初から最後までいらっしゃいました!出てもらえば良かった!?

 ということで?満を持しての登場です!! 予約受付は2月の予定です。詳細は別途お知らせいたします。「来年4月24日!」を唱えて、お仕事がんばりましょう!
 ご来場ありがとうございました!!

露の新治東京事務局


 内幸町の新治独演会は、満員の大盛況の中終わりました。新治師匠が精力的に演じられた「大丸屋騒動」、「くやみ」、「まめだ」を楽しく聴きました。「大丸屋騒動」は京都での騒動です。配布されたパンフには噺の参考の為に、京都の地図が添付されていました。これが噺の理解の参考となって、さらに具体的にイメージアップされました。京都を舞台とした、錯綜した人間の時空の関係がよく分かり、大いに鑑賞の一助になりました。こうした新治師匠のスタッフの地道なサービス精神は、サービス以上に豊かなものを感じます。ありがとうございます。3席目の「まめだ」という師匠のネタおろしも楽しく聴きました。終わりにどうなるのかなという状況の中、豊かでしみじみしたペーソス溢れるユーモアを感じた傑作でした。
 ところで、前回の2月の新治師匠の落語会に参加した帰り道、大雪に閉じ込められたカップルがいました。このたびこのカップルに出来た子供さんが間もなく生まれるということを聞き及び、私は大変嬉しく思いました。おめでとうございます。これも新治師匠のひたむきな高座の功徳というものでしょう。落語会はもろもろの意味で、素晴らしい力を内包していることを実感した一日でした。【2014.9.22 東京都渋谷区 ON様】
(東京での独演会の感想をお寄せいただきました。いつも応援、ありがとうございます。次回は来年の4月24日(金)とのこと。またよろしくお願いします。MORI)


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