第2回 まいどおきに露の新治です
2013年9月9日
東京 内幸町ホール
9月9日の第2回東京独演会「まいどおおきに、露の新治です」は、大入りで、次につながる盛り上がりとなりました。高校の同期生や東雲寺様の皆様、人企連の方など旧知の方々。さばの湯「ぼちぼち行こか寄席」以来の通の落語ファンの方々など多彩。終始あたたかい雰囲気で、最初の三四郎さん「時うどん」から爆笑の連続。おかげで私も肩の力を抜いて高座へあがることができました。「聞いてやろう」というお客様に支えて戴き、3席なんとか勤めることができました。反省点も色々ありますが、精一杯の準備をして臨んだので、「良くも悪くも、あれが今の私」と素直に受け入れられます。
「立ちぎれ線香」は、ちょっと長かったので、これから刈り込みます。源平で「張り扇(はりせん、たたき)の音がやかましく、耳障りだった」とご指摘を受けました。申し訳ありません。張り扇は、上方独特のもので皮で作ってあり、先端部に五円玉が仕込んであります。それでよく通る大きな音が出ます。屋外で発達した名残で、マイクの無い時代はそれで丁度よかったのですが、声より張り扇の音をよく拾うマイクの性質から、耳障りな音量になってしまいました。補聴器の方がおられたら、たまらんかったと思います。お詫び申し上げます。冷房の効き過ぎと共に、今後の課題となりました。ボリュームを張り扇に合わすと、声がよく拾えないので、張り扇の音を下げるべきです。マイクの発達した今は、五円玉は要らんのかもしれません。ご指摘戴き助かりました。
正楽師匠の紙きり(紙工術)は、まさに世界に類の無い名人芸で、私は、さん喬師匠と並んで「次の人間国宝候補」だと思います。特にリクエストに応える、応え方がすごい!鈴本演芸場でも唸りました。さん喬師匠も駆けつけて戴き、舞台袖から最後まで見守って戴きました。一席終わると、楽屋で短いアドバイスを戴く。これもありがたいことでした。
さん喬、正楽両師匠とも、昔の「学校寄席のご縁」。20年以上前、学校寄席の全盛期、看板は小南、扇橋、文朝、文蔵、円丈師匠ら。これは予算のある時で、リーズナブルな(?)学校寄席では、トリが当時若手真打の小燕枝、一朝、さん喬師匠ら、前座が今のはん治、燕路、半蔵師匠ら。色物が、正楽(当時一楽)、アダチ竜一、鏡味小仙(仙寿郎)師匠、津軽三味線の高橋竹山(竹与)。間に、色変わりで上方から、雀三郎、福郎(福三)、私の三人が関山和男先生の推薦で入れてもらっていました。思えば、此のご縁あればこそ、今や名人の方々に無理を聞いてもらえるわけで、本当にありがたいことです。
「たち切れ」は15年ぶりにやりました。独演会ででもなければやれない噺で、ワッハ上方で6回やった独演会の1回目に出しました。もう二度とやることも無い噺と思っていました。それがやれただけでも大きな喜びです。ここ数年の落語への流れは自分でも驚きます。そして今「もっと刈り込んで、「たち切れ」を十八番にしたい」と思う私に変わってきました。ほんまに人生、生きてなあきません。だんだん面白くなってきました。楽しんで、願生ってみます。東京独演会第三回は来年2月8日です。願生リます。
(2014.9.11 新治)
おかげさまで「第二回まいどおおきに露の新治です」は満員御礼の大盛況となりました。ありがとうございました!! 今回の目玉は「立ち切れ線香」でした。上方落語の中でも大ネタの人情噺。以前こちらのホームページで好評だったと言うのを見て、ぜひ聴いてみたいと思っていました。そしてこの機会にリクエストさせていただきました。師匠がこのネタをされるのは15年振りとか!蔵出しですね。
開口一番は文枝師匠のお弟子さんで、東京でも活躍中の桂三四郎さんで「刻うどん」。スピード感のある落語で会場をあたためてくれました。
二席目は新治師匠で「ごんべえ狸」。主役の登場に会場の熱気は最高潮。
三席目はゲストの林家正楽師匠。名人芸に客席は感嘆の声。写真はリクエストの「ごんべえ狸」です。これを数分で切ってしまうのです!
今回は寄席では見られない、紙切りの影絵ショー?も見せてくださいました!美空ひばりの「川の流れのように」の曲に合わせて、用意していた紙切りを次々と映し出します。
美空ひばりから始まり、サザエさん一家やマイケルジャクソン、イチローに石川遼・・・と次々と繰り出す見事な紙切りに会場からは笑いや拍手が起こりました。最後に紙くずを片付けて下りる正楽師匠に降り注ぐような拍手喝采。
四席目は新治師匠で、ネタ出ししていた「立ち切れ線香」。
40分超えの大熱演!客席は静まり返り、皆さん落語の世界に入り込まれていました。中入り後は新治師匠で「源平盛衰記」。立ち切れとは打って変わって賑やかに盛り上がりました。第一回に続き、今回も三席。「独演会はいろどりの違う噺を三席をすること」これは五郎兵衛師匠の教えだそうで、五郎兵衛師匠は正蔵(彦六)師匠から受け継いだそうです。
楽屋にはさん喬師匠が応援に駆けつけてくださいました。舞台袖からジっと新治師匠の高座を見守る姿が印象的でした。高座が終わる度にお二人で反省会をされてました。写真は「立ち切れ線香」の直後です。
終演後はお客様をお見送り。
会場も第一回の倍近い大きさになり、より多くの新治ファンの皆様にお集まりいただくことが出来ました。鈴本、三田落語会等に出演され、東京では押しも押されぬ人気者となりつつある新治師匠。第三回もお楽しみに!!
【2013.9.12 露の新治東京事務局(東京独演会窓口)】
盛会おめでとうございます。内幸町ホールでの昨夜の新治師匠は権兵衛狸、立ち切り線香、源平盛衰記を熱演され補助椅子を出す程の盛会の内にお開きになりました。今回ことに私が聴きたかった源平盛衰記を新治師匠が見台を使われて噺していただいたので望外の喜びとなりました。 ありがとうございます。次回11月4日の町田市東雲寺寄席を待ち遠しく思います。【東京都渋谷区 ON様】
新治師匠、内幸町ホール、お疲れさまでした。3席もやって頂けるとは、会場でプログラムを見て驚きでした。「権兵衛狸」「立ちきれ線香」「源平盛衰記」と本格ばかりで、内容の濃い落語会を堪能させて頂きました。権兵衛狸と源平盛衰記は、8月鈴本で聴き損ねて悔しい思いをしていた演目でしたし、特に源平は気になっていたところでしたので、なにかモヤモヤが晴れ満足感が一杯です。あと、「立ち切れ線香」は出色と感じました。個人的に好きな噺の一つで、前半の可笑しみと後半の哀れみで趣が全く異なりますし、特に後半は繊細な場面が多く難しい演目、と素人ながら思っている噺だったのですが、新治師匠の高座でこの演目が聴けて非常に嬉しかったです。貫録の番頭、世間知らずで純粋なボンボン、酸いも辛いも噛み分けた女将と人物が漂ってくるようで、映画の一シーンが浮かんでくるようでした。さしずめ雁治郎、雷蔵、木暮実千代、それに若尾文子といった感じでしょうか。最近では、古今亭菊之丞師匠の高座で「たちきり」を拝見しまして、こちらは後半部分で小春(=小糸)のセリフを多くして女形の良いところを前面に出す演出のように見えましたが、昨日は、女将にしっとりと語らせる新治師匠の語り口に深く感じ入っておりました。会場も水を打ったようで、他のお客様も同じような思いだったのではないでしょうか。
それにしても、その後に源平盛衰記ですから、本当にお疲れのことと察します。随所に、お客に喜んでもらおうとする新治師匠のお気持ちが溢れる落語会でございました。次回は2月ということで、まだまだ先だなぁと思いつつ、指折り数えて楽しみにしております。その頃は、きっと寒さも厳しいことと存じますが、決して風邪など引かず、万全の体調で東京においで頂き(笑)、またワタクシたちを楽しませて頂けますよう、これからもよろしくお願いいたします。【東京都練馬区 TT様】
去年のらくだ亭「大丸屋騒動」以来、すっかり追っかけになっています。昨日は「たち切れ線香」がよかったです。お茶屋のお母さんが小糸のこと、とくに芝居に行く前夜から燥いでいたと細かに話すのはちょいと泣けました。朋輩たちの若やいだ調子も小糸の悲劇を浮きだたせていました。帰るときに師匠にあいさつしたら「眠かったでしょう」と言われましたがまったくそんなことはありませんのでよろしくお伝えください。ただ全体にちょっと、ほんのちょっとですが声に張りが少なかったように感じました。ヘラヘラ日記を拝見していると東北からの直行のご様子、おつかれさまでした。どうかご自愛のうえ、2月と言わずもっと早く東京公演をお願いします。いうことが矛盾してますなあ。【居残り佐平次様】(ブログ@梟通信)
内幸町ホールお疲れさまでした。新治師匠が、一席目の出の時と下がる際に深々とお辞儀された姿に敬服しました。「立ち切れ線香」初聴きでした。すっかり引き込まれました。生成りの長着の下に長襦袢のオレンジの柄がみえる、新治師匠の拵え。眼福。女将、小糸、その同輩女性達の姿が見えるようでした。いつか袷の季節にまた、この噺聴きたい(観たい)です。【神奈川県横浜市 NH様】