第9回久米仙人寄席
(2015.5.10 奈良県橿原市久米寺)
恒例となった、奈良県橿原市は久米寺にて、久米仙人寄席。350人を超えるお客さんで、会場の久米寺合掌道場は満席状態です。この日の番組は、「つる」ネタおろし・新幸、「狼講釈」・新治、講談「鼓滝」・旭堂南啓、(お中入り)、「曲ごま」・伏見龍水、「鹿政談」・新治。新幸さんは、簡単なストーリーでありながら奥が深いと言われる「つる」。ネタ降ろしとは思えない落ち着いた語り口。「つる」でちゃんと笑いもとれているのは、さすがです。新治さんの「狼講釈」は、まくらから爆笑を誘い、よろず講釈では最後になるほど唸るような笑いが押し寄せてきました。南啓さんの「鼓滝」は、西行法師の和歌のお話。私は以前、有馬温泉の逸話でこの話を聞いたことがあります。いろんな場所で話継がれているのでしょう。中入りの後は、上方で唯一の曲ごま師となった、伏見龍水さんの「曲ごま」から。会場の「おーっ」というどよめきが、あるときは無理矢理、ある時は自然に派生し、最後は拍手喝采でした。トリは新治さんで「鹿政談」。奈良にちなんだお話ということで、お客さんも大満足のようすでした。
久米寺山門 久米寺本堂 会場の久米寺合掌道場 満席の会場(20分前) 開会まではマンドリンの調べ 主催者代表のごあいさつ 新幸さん「つる」ネタ下ろし 新治さん「狼講釈」 南啓さん「鼓滝」 龍水さん「曲ごま」 新治さん「鹿政談」 出演者あいさつ (MORI)
5月10日、好天の大和路で久米仙人寄席、大盛況で無事終了。露の新幸さん、新治師匠、旭堂南啓師匠、中入り後は伏見龍水師匠の曲ごま、オオトリは新治師匠の鹿政談まで、350名の観客は大笑いの連続でした。4師匠方お疲れ様でした、有り難うございました。! 熱演風景添付いたします。
受付準備万端 新幸さん「つる」 開場満員のお客さん 新治さん「狼講釈」 南啓さん「鼓滝」 新治さん「鹿政談」 出演者あいさつ (仙人寄席スタッフのO.S)
300人は優に超えるであろう賑わいの久米仙人寄席行ってきました。今年で9回目だそうですが、私は去年に続いて2回目です。6日の繁盛亭では声の張りが足りないかなとおもった「狼講釈」が、今日は最初から絶好調。枕も大好きな「精子」の話。奈良にちなんだ「鹿政談」も人情豊かないい感じでした。新幸さんも師匠譲りの「つる」を、師匠より大きな声で演じられて良かったです。(大阪市淀川区 MM様)
久米仙人寄席楽しませていただきました。良い天気の日曜日、初めての久米寺仙人寄席、いやぁ結構でした。何しろ人の多さに驚いたのですが、その熱気に負けぬ芸の連続で大変満足いたしました。ブログに感想文を認めました。ご笑覧いただければ幸いです。
露の新治さんを聴きたくて、橿原市の久米寺を訪れました。近鉄京都駅から急行約70分で橿原神宮前駅、そこから徒歩10分弱で久米寺へ。チケット予約の際に「早めに行かれた方が」とのアドバイスを頂いて到着は開演70分前、ところがすでに会場の椅子は前方から埋まっており、開演時には何とその数500名(主催者発表無し、400名超は確実)! 好天と熱気あふれる場内と、それに応える熱演で充実した日曜日を楽しむことができました。
「つる」露の新幸
新幸さん、ようやく上方落語協会のリストに登場しましたね、もっともコンテンツは何もありませんが。これまで何度か「東の旅発端」は聴いていますが、始めてそれ以外のネタ、それも「つる」! 亡くなられた米朝師、そしてその師である四代目桂米團治をして「落語のエッセンスがすべて入っている」と言わしめたネタ。ここらあたり、師である新治さんの配慮・熟慮なのでしょう。その新幸さん、さすが元(?)シンガーだけあって、声がよく出ています。細かなことはともかくも、噺家のスタートで最も重要なことは声が出るかどうか。いいスタートです、余計なことを気にすることなくまずはこのまま大きな声で突き進んで欲しいですね(19分)。
「狼講釈」露の新治
やっと、生で聴くことができました! 三田落語会の音源を購入して何度も聴いてはいますが、やはり生で仕草と表情を確認せねば聴いたことにはなりません。大坂を出てとある田舎で旅修行の講釈師になりすまし、めし・風呂・祝儀をせしめて逃亡、そこを狼に取り囲まれ、講釈できればよし、少しでも詰まればエサにするとの展開。いい仕込みですねぇ、講釈に詰まれば狼が食いつこうとし、慌てて続ける五目講釈。自分が詰まれば狼を登場させて間を取ればいい訳で、噺家の修業と知恵のたまものとも言うべき展開。今週の天満天神繁昌亭でもかけらていたように、新治さん自家薬籠中のネタ、安定感ある喋りを堪能させていただきました(29分)。
「鼓滝」旭堂南啓
講談を生で聴くのは初めての体験、ええもんですね、落語と違って「読む」ことがベースですから落ち着いて楽しむことが出来ます。落語では笑福亭鶴光師が「西行鼓滝」としてよく演じておられますが、その元ネタかな?
私の生まれが兵庫県猪名川町ですから、舞台となる鼓滝は川西市内、能勢電の駅名にあることから子どもの頃から馴染んでいます。しかし、実際に滝の後など行ったこともない、ちと勉強したいと思わされました。南啓先生、地元橿原市在住とかで、客席からは「何処に住んではるん?」などと声がかかって終始和やかでありました(26分)。
中入り
「曲ごま」伏見龍水
以前にも新治さんの会で拝見しています。上手ですね、コマは勿論おしゃべりが。一連の番組の中で自分の役割を心得たプロの仕事、会場から小さな女の子と年配の男性を「パートナー」として迎え入れ、客を取り込む技はさすが。見た目は若いですが、年季を感じさせる高座姿は誠に結構(22分)。
「鹿政談」露の新治
会場の様子からしてあまりしっとりしすぎる噺は難しいだろう、と思いつつマクラを気にしていたのですがこの噺になりました。
個人的には途中から身体を前に乗り出して集中、というのも、御白砂での吟味の場面、鹿の守り役・塚原出雲の居場所であります。桂米朝師など上手に座らせる演出ですが、新治さんは奉行の下手に位置し、一貫してその目線での噺の展開。これは五郎兵衛師ゆずりなのか、それとも新治師の演出か。私も不勉強故どうこう言えることではないのですが、時間が出来れば江戸時代の白州の設定など調べてみたいと思います。
米朝師が亡くなった後の数多い追悼番組の中で、師の奉行姿を賞賛されるコメントを数多く拝見しました。全く異論ありません、が、今日の新治さんの奉行姿、ご自身も「若輩」という設定をしておられましたし、「井戸の茶碗」の武士姿も含め、上方落語での若く清廉な武士の有り様を確立されたように思えます。いやぁ、お天気同様誠に結構な高座を楽しませていただきました(30分)。(京都市 TM様)
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