第22回「加茂あったか寄席」
2018年3月4日(日)
島根県雲南市 加茂教育集会所

春は「あったか寄席」から

(露の新幸)

 毎年、3月になると島根の加茂町の「あったか寄席」があります。昨年は車で、今年は電車を乗り継いで、いつも4〜5時間かかります。その道中の景色で春を感じるのが、この「あったか寄席」なんです。落語や演芸はもちろん、同和問題への関心を深めてもらう人権の啓発イベントでもあり、地元で活動されてる「はんどばっくの会」の皆さんと私の師匠とが中心となって毎年行っています。今回で22回目とのこと。地元の方々にたくさんお集まり頂きました

 はじめに、部落問題を取り上げて全国で講演をされてる「坂田かおり」先生がご自身の体験をベースに、差別が生まれてしまう背景を真剣に時に笑いなども交えながらお話をされました。「人権」が大切なことはきっと皆さんの共通意識だとは思いますが、では、なにを自分の生活の中で「人権」として考えていくのかは意外に難しいことだなぁと、私はいろんな方の講演を聞くたびに思わされます。
 配偶者を「家内」と呼ぶことも人権を考える上ではいろいろと配慮が必要のようなんですが、妻が自分のことを「家内」と言っているのを訂正するのもまた、その人の考えの尊重から外れてしまうこともあったり。人権がテーマになるとちょっと難しと感じてしまうのは、今日からの自分の生活にどういう風に落とし込んでいけばいいのか、それを考えることになるからだと自分自身のケースでは思います。
 それでも「自分からいろんな事を考える」いいきっかけになるのが人権の講演です。坂田先生ご自身が受けた差別などを、具体的に話してくださいました。「差別される側もまた誰かを差別してしまう」この言葉が印象的でした

 人権講演の後は中入り休憩を挟んで、寄席をさせて頂きます。私は今回で3回目。こちらのお客さんはいつも歓迎ムードで聞いてくださいます。たくさん笑ってくださいましてのせて頂きました。ゲストには太神楽の豊来家一輝 師匠!土瓶まわしの芸は本当に必見です!皆さん驚いたり喜んだり大いに盛り上がっていました。
 トリは師匠が「景清」をされました。主人公は目が不自由でして、そのためなのか上演を避けられることもあるネタです。もちろん落語ですので笑える話ですし、私は登場人物のお互いの支え合いや、生きることへの貪欲さをこの話から感じまして、かえって場に相応しいような気もいたします。寄席でもなかなか聞けないネタですし、師匠もあまりかけないので、そういう意味でも私も聞けて嬉しかったです。寄席も大いに盛り上がりました!

 寄席の後は地元の世話人の皆さんと打ち上げです。皆さんの昔ばなしなど聞かせて頂きました。月日は律儀に過ぎていきますが、大切なことはそうそう変わったりしないんだなぁと皆さんのお話を聞いて思わされました。

 私にとってはこの「あったか寄席」が春の訪れです。いい一年になるように気持ちを新たに明日から過ごします。願生ります!


 今年は初めて電車で来ました。乗り継ぎが何度かあって5時間ほど。「宍道」と書いて、(しんじ)と読みます。

 電車の中から撮りました。大山 が綺麗に見えてました!

 今年で、22回目!継続は力なり。すごいです。

 一輝師匠の 至芸!この土瓶まわしは、本当に一度見て頂きたいです。

 廊下にまでお客様が溢れてました。板の間にカーペットと座布団をひいて、席を増やして頂きました。世話人の皆さん、朝早くから本当にご苦労さまでございました。来年もぜひ、よろしくお願いいたします。

新幸拝


「第22回 あったか寄席」

 「人権講演」 坂田かおり

 (中入り)

 「金明竹」 露の新幸

 「太神楽」 豊来家一輝

 「景清」 露の新治


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