第15回「加茂あったか寄席 三人会」
2011年3月6日(日)
島根県雲南市 加茂教育集会所


 島根県雲南市加茂町にて、あったか寄席。遠くは、滋賀県草津市から(あのYさん、Uさんコンビ)、県内も、大田市、浜田市、松江、川本などからも来て戴き、満員御礼!
 今回は、吉田智弥さんと玉之助さんがお初。お二人とも大好評。吉田さんのお話は、西光万吉の知られざるお話。水平社発祥の地、奈良の解放運動、熱と光を求めての演芸運動などなど。島根の人たちには新鮮な話ばかり。いいご縁が広がりそうです。玉之助さんは、天井の低い会場で、お客が車座になっての観賞。やりにくい中さすがの至芸。あったかい雰囲気は打ち上げも続き、奈良と島根の解放運動の熱い交流で盛り上がりました!
 落語は、「柳田格之進」をやりました。皆さん、長い、笑いのない話によくお付き合い戴きまして、本当にありがとうございます。往復車のハードな旅でした。玉之助さんに感謝。
(新治)

「あったか寄席」一座

 3月6日、山陰の小さな部落で行われた「あったか寄席」に出演した。
 露の新治さんが全国各地で「人権高座」を開いてきたことはよく知られている。その中の一つ、島根県雲南市の片田舎で、毎年この時期に催されているのが「あったか寄席」である。「そこへ一緒に行って、話をしてくれませんか」というお誘いを受けた。
 山陰本線の宍道駅からクルマで15分ほど、見た目には普通の日本家屋だが「教育集会所」である。同和対策事業で建てられた・間仕切りの襖を外してできた「大広間」が会場で、そこへ座布団を並べて老若男女が肩を寄せ合って座る。主催者側のスタッフも含めて93人が参加した。大入り満員である。
 プログラムの一番は、私の「奈良の部落・解放運動との出会い」。1975年以来の、36年間に体験したことの断片を脈絡なしにお喋りした。とても熱心に聞いて下さった。
 二番手が、豊来家玉之助(ほうらいや・たまのすけ)さんの太神楽(だいかぐら)。名前は古典的だが、当人は30代の好青年。演目の中身は、その昔、放下師(ほうかし)と呼ばれた人たちが天下大道で披露した一種の曲芸である。その手さばき、身のこなし方も見事だったけれど、圧巻はまるで天地を浮遊するような獅子の舞。心が震えた。
 トリは言うまでもなく露の新治さんである。これまで幾つも落語を聞いてきたが、この日の話は初めて。題して「柳田格之進」。碁敵・藤兵衛と肝胆相照らす仲だった元彦根藩の武士が、ある手違いから五十両横領の濡れ衣を着せられる。格之進から「もしその金がどこからか出てきたら貴様はどうする?」と迫られた番頭は、「私の首を差し上げます」と啖呵をきる。なんと「その上に主人の首も差し上げます」とまで言い切る。
 ところが・・話は二転三転。ドキドキさせて笑わせて、最後にホロリとする落ちがつく。新治さんの人間味あふれる真打ち芸を堪能させてもらった。
 「寄席」が終わったあとの直会(なおらい)がまた楽しかった。
 主催者の「はんどばっくの会」を始め、部落解放同盟の支部の人たち、同和教育を推進してきた教師たちから、島根県の解放運動について色々と教えてもらった。この地の部落産業であるラケット・ガットの原料が鯨筋(げいきん)であることも初めて知った。
 そろそろお開きという時になって気付いた。全員が初対面なのに、朝から付き合ってきて全く疲れを覚えないのだ。この居心地のよさは何だろう? 解放運動の初心がここにはまだ生きているからではないか。久しく味わえなかったところの。
(吉田智弥) 【蛇行社通信より】

皆さんからのメール


 お陰様で、加茂あったか寄席は、盛会のうちに無事に終えることができました。新治師匠、吉田智弥さん、豊来家玉之助さん、いらして下さったお客様、本当にありがとうございました。吉田智弥さんのお話は、穏やかな語り口の中に秘められたパワーに、お客様が皆、静まりかえって、ものすごい集中力での、学習になりました。中入りの後は、会場が狭い為、お客様のど真ん中で繰り広げられることになった、玉之助さんの迫真の技に、お客様は大満足でした。そして、〆はやはり、新治師匠ならでは。キリッと黒のお着物で、格之進は、よかったぁ〜。背筋がシャンとしてくる気がして、でも終わりはほろりと・・・。周りの人に分からないようにと涙をぬぐいながら、引き込まれました。1回1回、スタッフの各々が、様々な願いを込めて開催している寄席です。願生った成果が時折見えることもあり、また励みになります。来たかったけど来れなく残念との、激励のお言葉を頂く方あり、また、思いがけず、お越し下さった嬉しいお客様も少なからずあり、沢山の方に支えられて、有り難くあったかい寄席でした。HPで結んで頂いたご縁も、私にとってはとても嬉しいご褒美でした。【2011.3.7 島根県雲南市 SM様】

 かねてより念願の、島根は「あったか寄席」に行ってきました! 今回は、奈良から来られた吉田先生のお話と、豊来家玉之輔さんの太神楽、そして新治さんの落語「柳田格之進」でした。おっとりとした穏やかな風貌から発せられる鋭い視点の吉田先生のお話に目を見開かされ、目の前で繰り出される玉之助さんの曲芸軽業に「ほぅ〜、はぁ〜(゜o゜)」と口をただただポカンと開け、新治さんの「柳田格之進」では、初めて落語を聞いてボロボロ泣いてしまいました。地元の女性たちが主催されている小さな会だけどとても雰囲気がいいですよ、とお聞きしていてぜひ一度行ってみたいなぁと思っていました。わたしが話に聞いていたのでは、30人くらいの小さな集まりということでしたが、それは何年か前のことで、どんどん輪が広がり15回目になる今では倍以上の人が集まられるということで、会場は廊下まで人でぎっしりでした(100人近くおられたのでは?)。気軽に普段着で来られる雰囲気で皆さんとても楽しんでおられました。主催されている「はんどばっくの会」や有志のみなさんのお人柄、願生りなんだなぁと、心がほっこり「あったか」くなって帰路につきました。素敵な時間をありがとうございました。【2011.3.7 滋賀県大津市 UM特派員】
 3月6日雲南市加茂教育集会所で開催の第15回「加茂あったか寄席 三人会」に参加してきました〜。会場は有志の皆さんが早くからの準備、小さな会場には約100人がぎっしりと入りの状況でほんまに「あったか」な雰囲気でスタート。吉田智弥さんからは人権にかかるいろんな課題、現状説明がありました。社会意識を形成している一人として、自他ともに笑えて暮らせるよう自己変革に願生りたいと思いました。豊来家玉之助さんは、太神楽(投げ、まわし、立てる)を楽しませていただきました。短刀、鎌、宝玉、傘、升、皿回し、舞曲芸、獅子舞〜会場のスペースの上からも大変だったでしょう。その分目前で見られて良かったです。新治さんからは、「柳田格之進」。彦根藩武士柳田格之新と井筒屋藤兵衛と囲碁を介しての五十両の騒動、武士としての清廉潔白な生き方、身を呈してまでの娘の父親への思い、主人と番頭の思いやり・・今日の世相だからこそ、忘れてしまっている大切なものを伝えている噺で、ジーンと胸来るものがありました。人権落語の新治さんというイメージが強いなか、改めて名人落語の新治師匠に出会えた今日でした。はんどばっくの会の皆さんとも、交流・お話ができ、エネルギーをいただき、また楽しい時間・空間をありがとうございました。【2011.3.7 滋賀県草津市 YY特派員】
吉田智弥さん 豊来家玉之助さん 新治さん「柳田格之進」

 もう既に特派員の方から報告が上がっていますが、今回は報告ブログを立ち上げて、写真をごっそり載せてみるという暴挙に出てみました。ブログURLはコチラです。【2011.3.8 島根県雲南市 MH様】

 「あったか寄席」、初めて行かせていただきました。実はその前日の夜、私の町(島根県大田市三瓶町)でも人権寄席をやっていただきました。小さな公民館からの依頼で、私たちの学習会「池田じんけんひろば」も共催で開催しました。新治さんの出し物は、「柳田格之進」。来場者は、一人の参加者曰く、「講談を聴くように」聴き入り、静かな反応だったようです(実は私は準備だけして他の会に出て、その場にいませんでした)。そして次の日、「あったか寄席」の出し物も「柳田格之進」。さすが15回目の会場、聴き手も笑いどころを心得ているというか、新治さんとの呼吸というか、私の町では見られなかった大きな笑いが同じ「柳田格之進」で湧くのです。それでいて、最後は目の周りをこすっている感情移入。この差は、参加者の人権感覚の違いという面でも、同様に出ているように感じました。今回、私の町では意識的に「人権講演会未経験地域」に食い込んでいただきましたので、当然と言えば当然なのですが。結果、私の町でも「できれば続けて欲しい」なんて声が出たりして、「ふんふん、ねらいどおり」と思っているところです。【2011.3.8 池田じんけんひろば OA様】


ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。